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思うところも多い 映画・ドラマ・バラエティ 59.遺伝情報にしばられた近未来で、現代に通じる部分もありそうな SF映画 ガタカ [印象に残る 映画・ドラマ・バラエティ]

1997年に公開されたSF映画『ガタカ』を観たのだが。派手なアクションで痛快さがあるようなものではないのだが、独特な世界で雰囲気もあり、夢や友情、社会へのメッセージもありそうで。SF映画としては、地味なのだが、興味深く楽しめる。

物語は、遺伝子操作が当たり前のような 近未来で、それにより生まれた優れた人間が、社会的にも優位な立場になり、そこに、遺伝子操作を全く受けていない主人公が、夢を叶えるため誰かになりすまし、そこで、様々な出来事が起こるというもの。

遺伝子操作により、知能や身体能力が高く、外見も、目の色、肌の色などの外見的なものも操作し、それにより生まれたものを『適正者』、それを受けずに、自然に生まれたものを『不適正者』と区別。これが、超えられない大きな壁になり、遺伝情報が全てという感じなのだが。遺伝子操作と言っても、誰もが同じレベルの人間になるということではなく、遺伝子操作を行っても、それぞれに違いがあり、そこでの優劣もある。

主人公は、全く遺伝子操作を受けずに生まれ、それでも、出産時には検査を受けており。推定寿命が30歳、神経疾患の発生率 60%、そううつ病 42%などと言われ、親が愕然とし、弟は、遺伝子操作。すると、子供の頃から、能力差が歴然としており、兄である主人公が、何をやっても弟に負け、この葛藤もあり。

社会に出てからは、宇宙に行きたいという夢を持ちつつ、知能も十分ながら、不適正者が超えられない壁になり。そこで、遺伝子的には非常に優れ、元水泳選手なのだが、交通事故で半身不随になった人物になりすまし、宇宙局 ガタカの局員に。

特徴的なところが、ガタカでは、常に血液検査や尿検査で、本人確認を行っており、監視されているような状態。そこで、主人公は、なりすますため、元水泳選手の血液や尿、髪の毛を使い、自分の体からは、体毛などを落としてバレないよう 必死で全身を洗う。この姿が、実に悲しげで、印象に残っている。

主人公と元水泳選手は、DNAブローカーにより、出会っており、もともとは、全くの赤の他人なのだが。主人公が適正者になりすますことができ、元水泳選手は、同居するカタチで、体が不自由ながら、生活することができ、絆も芽生え。主人公の危機には、体を張ってとなり、堅い友情もある。

この映画は、近未来を舞台に、社会のルールを超えて、夢を掴もうとする主人公の姿が描かれており、宇宙に行けるかという物語。20年ほど前の作品だけに、技術的な部分で時代を感じるところ、現実的ではない部分もあるのだが、これは、観る人に分かりやすくという面もあるのかもしれない。やはり、血液が落ちるシーンが何度かあり、そこに、何か印象付けるものもありそうで。

遺伝情報は、あくまでも、確立の問題になり。遺伝的に優れていても、事故に遭うこともあり、行動には感情も伴い、変化する環境の影響もあるため、何が起こるか分からない部分がある。現在、検査キットを使い、それを郵送することで、遺伝情報を調べることはできるのだが。どんな病気にかかりやすいかは分かるものの、その病気になるならないが明確に判断できるものでもなく。人は、そう単純ではないということだろうか。

SF映画ならではのアイディアや斬新さで観やすく、ドラマティックでもあるのだが。近未来だけに、科学的な部分が多く、データによる判断が無感情で冷たさがあり、だからこそ、計算ではない 人の感情を際立たせるようで。感動もあり、しみじみと思うところもあり、そんな物語だった。





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