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思うところも多い 映画・ドラマ・バラエティ 72.印象に残るシーンも多く、裏がある面白さもあり 1976年版 犬神家の一族 [印象に残る 映画・ドラマ・バラエティ]

1976年に公開された映画『犬神家の一族』を初めて観たのだが、古い映画ながら映像が綺麗で、俳優の若さに驚きもあり。裏の裏があるような物語で細かさがあり、刺激的なシーンも映像を工夫することで弱めていたり、不気味な雰囲気もありつつ、重くならずに楽しめた。

犬神家の一族と言えば、白いマスクをかぶり、湖に両足を出して殺されているシーンが、あまりにも有名で。物語を知らなくても、そのイメージだけがある人も多いかもしれない。

物語は、戦後まもなく、製薬会社で莫大な財を築いた犬神佐兵衛が死に、怪しげな遺書を残したことから、親族が揉めだし、次々と不可解な連続殺人が起こる。これに、探偵 金田一耕助が、優れた洞察力で事の真相をあばくというもの。

遺書には、製薬会社を立ち上げる際に、出資した恩人の孫娘が、結婚相手を選び、それに遺産を相続させるというもので。犬神佐兵衛に3人の娘がおり、それぞれ、息子が一人ずつ。その中に、戦争で顔に深い傷を負い、白いマスクの佐清(すけきよ)がいる。

この他、愛人に産ませた子供もおり、恩人の孫娘には、思いを寄せる法律事務所の男、命がけで守ろうとする男もおり。人間関係に複雑さがあるのだが、そこに、白いマスクの佐清なため、誰なのかという疑いもあり、怪しげで。

この物語、殺害方法に特別なトリックがある訳ではないのだが。気になる小さな出来事がいくつも積み重なり、最後に、それらの理由が分かり、納得できるところに、問題を解いたような気分の良さがある。

気になるところとしては、家系図のようなものが想像できないと、人間関係がやや込み入っているだけに、誰が殺されて、どうなっているのか、なぜ、この人が関わっているのかなどが理解できず、よく分からない物語になる。もともとが長編推理小説なため、本で読んだ方が、状況が掴みやすいのかもしれない。

『犬神家の一族』の映画は、1954年版、1976年版、2006年版の3作があり。中でも、1976年版には、原作者 横溝正史が那須ホテルの主人で出演しており、当時、ブームになった角川映画の初作品で、金田一耕助が原作のまま着物を着た初めてのものでもある。翌年には、テレビドラマも放映され、最高視聴率で40%を超えたというから、人気に火を付けた作品とも言えそうだ。

この映画、欲望が渦巻く、人間の卑しさが感じられるものの、石坂浩二 演じる探偵 金田一耕助は、どこか明るく、純粋に謎と向き合う姿もあり、そこで、暗く深刻になり過ぎない良さもある。

印象に残るシーンでは、那須ホテルの女中と金田一耕助が徐々に仲良くなり、お使いを頼んだりするのだが。その女中が、うどんだろか、麺類を食べていると、金田一耕助がいろいろ聞きながら食べる邪魔をしており、それでいて、『食べなさい、食べなさい』を繰り返すのが面白く。

最後は、ハッピーエンドでもあり、収まりも良さそうで。テレビドラマも、いくつもあるため、見比べてみるのも面白いかもしれない。





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